心霊系

夜空に浮かぶ火の玉

これは私が小学校4年生の10歳の頃の話です。
子供は心が純粋だからという理由でよくおばけを見てしまうことや心霊現象を体験することがあると言われておりますが、私も幼い頃に怪我などしたことがないにしろそのような心霊体験と呼ばれてしまうような体験をしたことがありました。

[1.夜空に浮かぶ飛行物体]

私は幼い頃から夜空に浮かぶ星を見ることがとても好きだったので、友達たちと友達の家などで遊んで自宅へと帰っているその帰り道などに夜空を見ながら流れ星や珍しい星を見れないだろうかと目を凝らしてワクワクしながらよく見ておりました。

そんな日々が毎日のように続いていたある日のこと、その日は寒い真冬の日だったということもあって夜空にはくっきりと鮮明に星がたくさん瞬いておりました。

こんなにたくさんの星を見たことがないと感じた私は今までにない高まりに、かなり寒くて外にいたいという感覚を忘れてしまうくらいにうっとりとしながらジーッとじっくり星を見ていました。
するとそんな星たちの中に少し色が違い赤色をした飛行物体が浮遊しているのがわかりました。

そんなものを見たことがなかった私は開いた口が塞がらなくなるくらいに驚いてその物体の動く様子を目だけでなく全身で追いかけておりました。
その物体は、真っ直ぐに横に動いているだけではなく時には縦に、時にはクネクネと波うつように不思議な動き方をしていたのです。

どのくらいの時間が経ったことでしょう。
私はふと我に帰り、あまり帰りが遅くなると親が心配すると子供ながらに考えてその日は走って家に帰りました。


[2.近くなった飛行物体]

その次の日です。
私は1番仲の良かった小学校のクラスメイトと放課後に遊ぶ約束をしました。

そのクラスメイトとは週に3回ほど遊ぶくらいに仲が良く、話も合うし趣味も合うし、好きなゲームなども合うしなくてはならない仲間でよく私の家とそのクラスメイトの家を交互に遊びに行き来しておりました。

その日は私がクラスメイトの家に遊びに行くことに決定していたので、授業が終わったあと帰りの会をした直後にダッシュでランドセルを置きに家にまず帰りました。

その後すぐに自転車に乗って鼻歌を口ずさみながらワクワクしながらクラスメイト宅に訪れました。
テレビゲームをしたり、トランプをしたり、絵を描いたり外に出て野球をしたりとやはりその日の遊びもどれもこれもが心の底から楽しくて、嫌なことや悲しいことなど全て忘れて、時間など気にせずに遊んでいました。

時計を見ると遊び始めてからもう3時間ほど経過していて17時を過ぎていて、そろそろ帰らないとまた親が心配してしまい迷惑をかけてしまうだろうなと子供ながらに感じたのでまだまだ楽しく遊んでいる途中だったのですが「時間も時間だからそろそろ帰るね、また明日」とクラスメイト宅をあとにしました。

そして毎日の恒例行事となっております夜空の星を眺めながら歩いていると、なんと昨日の夜に見たあの赤色の飛行物体がまたまた飛んでいるのがわかりました。どこからどう見ても昨日の物体と全く同じ赤色のものでした。

まさか2日連続でそんな得体の知れないものを見ることになるとは思わなかったのでこれが現実なのか非現実なのかすらわからなくなってしまい、漫画のように自分のほっぺたをつねってみると、当たり前ですがとても痛かったのです。

こんな貴重な体験、なかなか出来ないなと思いながらもジーッとその物体を見ながら「家に帰ったらこんなことがあったと細かく全て親に話そう」と考えておりました。
するとなんとその赤い飛行物体が少しずつ大きくなっていったのです。

初めのうちは何故大きくなっていくのかなんてわからなかったのですが、実は大きくなっているように見えたその物体は、私の方にどんどん進んできていたのです。

さすがに怖くなってきて、その物体がもしかしたら私にぶつかったとしたらどうなってしまうのだろうかと焦り、走って家に帰ろうとしました。
その時です。近づいてきて大きくなってきたその飛行物体の方を見ると、ただ赤色をして光っているのではなく炎を纏ってメラメラと燃えながら飛んでいるという事実に気づいたのです。

それに気づいた私は、その燃える火の玉のような物体のことを何処かで見たことがあるということを知ったのです。
一体全体どこで見たのかといいますと、それは妖怪図鑑で見た人間の魂、いわゆる人魂だったのです。

そうです、私がきれいな真冬の夜空に浮かんで幻想的できれいだと思って見ていた赤色のそれはあの世という異世界に続いていく人間の魂だったのです。

そんな怖いものを見てしまったという恐怖が最高点に達してしまった私は金縛りにあったかのようにその場から一歩も動けなくなってしまい、身体中に汗をかいていることがわかりましたしどうすることもできなくなってしまいました。

そうしている間にその人魂はわたくしの周りをぐるぐるゆらゆらと飛び回り、何分間か飛んだあとに近くにあった神社の中へとゆっくりと消えていったのです。

その人魂が見えなくなったところでようやく身体が動くようになった私は、なるべく街灯のある明るい場所で人間が多く歩いている通りに沿って歩き、かなり遠回りをしてしまいましたがなんとか家にたどり着くことができました。

ほんとうに慌てていたのでどうやって帰ったのかを鮮明には覚えているわけではありませんが、妖怪図鑑で見た人魂と同じようなものを見てしまったのは確実です。
親にそのことを話してみましたが、実際に本人が見たわけではありませんので父親も母親も半信半疑でしっかりと話を信じてはくれませんでした。

それからというもの、星空を見ること自体は大好きなままですがあのような人魂は1度も見なくなりました。
あのような人魂を見たのはあの日が最初で最後だったのですが、見たからといってその後何か私自身の身体に何か異変が起こったわけではありませんが、人生の中で1度あるかないかくらいの貴重な体験をしたと思っております。

あれからというもの私は心霊現象などには合わなくなったのですが、あれは私が純粋だった子供の心だったから見えたものかもしれません。

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