これは、私が中学生の時に実際に体験した怪奇現象のお話です。
当時私は、15歳で高校受験目前の時期で、学校から帰宅して夜の就寝前にほぼ毎日勉強机に向かい、受験の備えて一生懸命に勉強を頑張る毎日を過ごしていました。
12月の寒い冬でシーズン的にも受験勉強の追い込みをかけている時期でした。
その日は気象が荒く日中から天候もあまりよくなく、いつもにも増していっそうに寒さが厳しい風の冷たい寒い日でした。強風も吹き荒れて、嵐かのごとくゴーゴーと窓の外を大きな風の音が部屋の中まで響いています。
当時住んでいた私の家は、マンションの4階で、風の通りが良かったこともあり強い風が吹くと窓ガラスがガタガタと音を立てて揺れることもしばしばありました。
その日はいつものように夜の8時には夕食を終えお風呂も済ませてしまい、11時ぐらいから勉強机に向かいました。
そう。いつものように。
時計の針が夜の12時を指す頃に近づくと、両親も兄弟もみんな早々と自分の部屋に戻り就寝の準備をし始めました。
母はちらっと私の部屋を覗き、「まだ起きてるの?いつも頑張ってるね。今が頑張り時だけど勉強はそこそこにしてもうそろそろ寝ないとだめだよ。先に寝るわね、おやすみなさい」と伝えると自分の寝室へと戻っていきました。
家族が自分たちの部屋へと戻ると家の中がシーンと静まりかえります。
テレビの音もしない、生活音もしない、静寂が立ち込める空間へと変わっていくのです。勉強をするのには最適な静けさでした。
私はいつも通り、だいたい2時間を目安に勉強がんばることを決め、集中して取り組みました。
すると、勉強を始めて30分くらいたった頃でしょうか。
何やら窓の外がガタガタガタと大きな音を立ているではありませんか。
私は「今日は天気悪かったし、嵐のような風が吹いていたな。まだ風の勢いが強いなぁ」と思ったものの、制限時間を決めていたので気にせず意識を勉強に戻しました。
しかし、窓のガタガタとゆう音がどんどん大きくなっていくのです。
私は「本当にうるさいなぁ。どんな風の強さなんだろう?窓ガラス割れたりしないよな?」と不安に思い、また勉強をする手を止めたのですが、時計を見てみると、気がつけば夜の2時をまわっていました。
あっという間に時間が過ぎていることに驚きましたが、あと30分だけ頑張ろう!と自分に言い聞かせ、重たいまぶたをこすりながらまた勉強に集中しました。
しばらくすると、またしても窓がガタガタと揺れる音が聞こえてきます。
そして、夜が遅くなれば遅くなるほどに窓の揺れる音がガタガタという音からドンドンドンと叩く音に変わってきている気がしました。
そして叩く音も先ほどより大きくなっているではありませんか。
あまりにもうるさく鳴り響く音なので、次第に窓の音が気になって、集中力が途切れるようになってきていました。
「せっかく家族が全員寝静まって、勉強に集中できる静かな空間なのに風が窓を叩く音で全然集中できない!」と思った私は、窓ガラスの鍵がきちんと閉まっていないのかな?と思い、一旦窓を閉め直してみようかなと考えました。
そして、勉強机を離れ、窓のそばまで行き、カーテンを開けようとカーテンに手を伸ばしたしたのですが、その時なぜが一瞬何かが頭をよぎったのかカーテンを開けるのをやめたのです。
「窓を閉めなおしている時間があったら、もう何も気にせず一気勉強に集中して早く終わらせて今日はもう就寝しよう」と思いなおし、再び勉強机にもどりました。
その後も後ろで窓の音はずっと鳴り止みません。
時計の針は夜中の2時半をまわっていました。
私はあらかた勉強を終えるとすぐに布団に入り目を閉じました。
やっと眠れるという思いと、布団の暖かさで急激に睡魔が襲ってきました。
目を閉じてしばらくすると、なにやら体に異変を感じました。
急に体が動かなくなってしまったのです。そうです。金縛りです。
最初は勉強を遅くまでしたから体が疲れているだけなのかなと思っていたのですが、なんだか頭の上の方から嫌な気配を感じます。
「なんだろう。怖いな。いやだな。早くとけてくれないかな。」
そればかり心の中で思っていると、なにやら耳のそばで女の人の声がします。
私の耳元で何かを囁く言葉が聞こえるのです。
「ぎゃー!」と思ったものの体は動かないし、声もでません。
私は怖くて怖くてたまらず、どうにか動き出したかったのですが、どう頑張っても体は言うことを聞いてくれず一向に動く気配がありません。
すると、どんどんどんどん首が苦しくなっていきました。
「息ができない。苦しい。。」と思うのですが、今の状態じゃどうすることもできません。
次第に体がどんどん重くなり、辛くて苦しくてでも体が言うことを聞かないので助けを求めることもできず涙が流れました。
すると、目の前にライトをパっと当てられたような明るい光が一瞬差しこみ、すぐに消えたとおもった途端に金縛りが解けて体が動くようになりました。
その瞬間、恐怖と安堵と感情がぐちゃぐちゃになって涙が溢れてきました。
その日は怖くて怖くてほぼ眠れず、部屋の電気をつけたまま朝を迎えました。
それから少し眠ってしまっていたようで、気がつくと朝の8時でした。
昨日の夜の出来事が怖くてすぐ母のもとに行こうと思ったのですが、とりあえず窓を開けて空気を入れ替えようと思い、カーテンを開けるとなんとそこには窓ガラス一面の手形がついていたのです。
それを見た私は、頭の中に?が3つ浮かびました。
「なんでこんなところに大量の手形がついているんだろう?」と不思議に思った私は、窓ガラスに残された手形と自分の手形を重ね合わせてみました。
すると、その手形は自分の手のひらの半分位のサイズしかなく、明らかに子供サイズの手の大きさだったのです。その状況にすぐに判断がつきませんでした。
手形は窓の外側からついているのです。
しかもここはマンションの4階。どういうこと?と同時にゾッとする思いと嫌な恐怖心がでてきました。
とりあえず私は、リビングにいる母の所へ行き昨日の夜金縛りを体験し、怖かったとゆう話をしました。すると母は、「やっぱりかぁ・・」と何やら神妙な面持ちで答えてきたのです。
私は状況が理解できず、「どういうこと?」と聞き返しました。
母は幼い頃から霊感が強く、見えたり感じたりするタイプの人でした。
私が怖がるとおもい、何かを見てしまったり、感じたりしても一切本当のことを言ってくる事はなかったのですが、その時は新聞を見せながらゆっくり私に話出しました。
「昨日ね、夜中に金縛りにあったんでしょ?その時あなたの部屋に女の子が来てたのよ。あなたのうなされる声が聞こえてたからまさかとは思ったんだけどね。お願いだから帰って下さいって何度も祈り続けてたらようやく帰ってくれたからホッとしたんだけどさ。今朝新聞見て驚いたわ。」と差し出された新聞の記事を読んでみると、どうやら昨日の夕方、私が住んでいるマンションの前の道路で、小学1年生の女の子が車にはねられて亡くなってしまったと書いてありました。
その記事を読んだ私は、恐怖で全身に鳥肌がたち、顔面蒼白状態となりました。
母曰く、「きっと私が霊感があることを感じとったからか、夜中にあなたの部屋に電気がついていたからかわからないけど、訪ねてきたんじゃないかな?」とサラっと言いました。
もし、昨日の夜中私が勉強をする手を止め、カーテンを開けていたらどうなってたんだろう・・・と、考えただけで今でもゾっとして背筋が凍ります。
あの夜私の所に現れた女の子に、私は何をしてあげることもできませんでしたが、ひとつ思ったのはあの夜カーテンを開けなくて本当によかったということです。
その日から受験勉強は夜ではなく朝早く起きてするようになりました。
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