心霊系

白いワンピースの女

これは10年前のまだ私が20歳になったばかりの頃の話です。

早く結婚したかった私は、出会った人とすぐに結婚しました。
私はその時、四国にあるとある町に住んでました。
田舎には違いありませんが、一部の部分は大きい建物や繁華街などが広がっており、いわゆるミニ都会でした。

当時、私の住んでいた家が市営住宅でして、その明るく賑わう場所から少し静かな田舎道に入った所でした。

そしてそのすぐ近くに小さい土地にお墓がいくつもおいてありました。

市営住宅でしたが、入居者同士はあまり関わりがなく、1年くらい住んでいましたが、誰が住んでいるのかも明確ではありませんでした。
ただ、両隣の住民さんとは付き合いもあるので、挨拶をした事から顔見知りでしたが・・・。

両隣とも夫婦で住んでいらっしゃり、私の方も夫婦で住んでいましたので、たまに一緒に外で会ったりして話をする世間話をする時がありました。
まぁ、お茶や和菓子を食べながらですね。
(主に旦那が仕事に行っているときに両隣の年配の奥さん達と三人がほとんどです)

ただ、夫婦といっても、両隣とも年配のご夫婦でして、私が家の夫婦が一番若いとよく言われてました。
(ここの住民は40代~60代が殆どらしいです)

一番若いという事は、この住宅には20代の人間はいないと悟り、少し残念にも思えましたが、別に居心地のいい住宅だったので普通に過ごしてました。

そんな日々がしばらく続いており、何げなく過ごしてましたが・・・
6月の梅雨時期に入ってくらいのある日の事です。

その日は朝から大雨で旦那も朝から仕事で県外に出張しなくてはならず、いろいろと大変でした。
県外なので、一日程泊まりになるらしく急いで旦那の泊まりの用意をしたり、食事を作ったりと大変でしたが、無事に旦那を見送る事ができました。

そして時間がゆっくり経ち、いつもなら両隣の奥さん達がお茶をしようと声をかけにきてくれるのですが、その日は来ませんでした。

私は、きっと大雨で外に出るのも困難なので家で二人共おとなしくいるんだなぁっと思い、私自身も家でおとなしく過ごしました。
とはいえ、あまりにも静か。

雨の音は聞こえるのですが、住宅の壁はそんなに厚くないので多少は音や声がうっすら聞こえてもいいのですが・・・。
少し怖くなり、テレビをつけて時間をつぶす事にしました。

(プルルルルル)

テレビを見ていると少ししてから携帯電話が鳴り響きました。
携帯の画面をのぞき込むと隣の奥さんの一人からでした。

「はい。」

「あら~、おはよう。私ったら、今日は朝から明日の朝まで○○旅館に泊まりに行くって○○ちゃんに伝えるの忘れててねぇ。今思い出したのよ!」

「いえいえ(汗)大丈夫ですよ。こっち大雨なんで今日はおとなしく家でいようかと思ってましたし。」

「そ~う?」

「ええ。それにこの雨だと他の住宅の人達も家でおとなしくいるしかないんじゃないですか?」

「あら!ごめんなさい!実は、今日から明日の泊まりっていうのが、住宅の会っていうメンバーでの泊まりで皆きてるのよ!」

「え?皆ですか?」

「そう!うっかりしてたわ~。ほらぁ、○○ちゃんに言った事あるでしょ?この住宅は40代~60代が多いって。この住宅の会が40代~60代の人の会だったのを忘れててねぇ。」

「そうなんですね・・・。」

「次からは、20代の○○ちゃんも一緒にいけるように頼んでおくから、今回だけごめんなさいねぇ。ちゃんとお土産買って帰るわね。」

「あ、はい。ありがとうございます。気にして頂いてすみません。」

「当たり前じゃない~、同じ住宅の人間なんだからぁ。じゃ、そろそろ切るわねぇ。明日の朝には皆帰るから。」

「はい。皆さん、ゆっくりしてきてくださいね。」

(ツーツーツー)

この市営住宅で、私一人・・・。
その瞬間、背筋がゾクッとしました。

一人で家にいても寂しいので、私は仕方ないと思いながらも、傘をさして買い物や少し遊ぼうと思い出かけました。

住宅からは、墓の前の道を通っていかないと町に出る事ができず、その道も残念な事に車が通れない幅なので、車も墓の前を歩いて少し離れた場所においてあります。

私は、雨で不気味に見える墓の前をそそくさを通り抜け、車に乗り出かけました。明るい場所に入ると、雨は降ってましたが、さっきまでの気持ちはなくなり、明るく過ごしました。

旦那もいないので、ゆっくりと夜の10時頃まで過ごしました。
帰る時間になると、雨も止んでおり、買い物もして食事もした私はハイテンションで家に戻りました。

田舎道なので、一歩入ると真っ暗ですが、墓場の前には街頭が一つありますし、車の駐車場から家まで歩いて100メートルあるかないかなので気にはなりませんでした。

駐車場につき、車を降りてテクテクと家の方へ向かって歩きだしました。
少ししたら、すぐに墓場が見えました。

「あれ?」すると目がぼやけているのか、街頭の少し奥の方の墓場の前に白いワンピースを着た女性が立っているのが見えました。

「こんな時間に?」とも思いましたが、目の前を気にせず歩き通り抜けました。女性はジーっとこっちを見てました。

少し気持ちが悪く感じましたが、この時間に人が通ったから見ただけなんだと思い気にしない事にしました。

無事に、家へ着き、電気をつけて一息いれました。
時計を見てみると、0時です。ふと気になり、外を見てみると、女性がこっちを向いて手を招きいれるかのような動作をしてました。

「何、あの人・・。こわい・・・。」
なんだか、とても怖くなった私はカーテンを閉めて、さっさと寝る事にしました。

そして、時間が経ち1時を過ぎたところでしょうか?
何だか音がしたのでゆっくりと目が覚めたので音のする方向を見てみました。

すると、入口のドアの方からガリガリガリガリと音がするのです。
ネズミとかとも思いましたが、その音がまるで爪でガリガリする音にも思えました勇気を出して、そっとドアののぞき穴を見てみると・・・

「え・・・!」
なんと墓場の前にいた白いワンピースを着た女性がいたのです。

私はとても怖くなり、声が震え、どうしたらいいのかと怖くて布団に潜り込みました。

「チュンチュン」

ふと気が付くと朝になってました。

「朝だぁ。あれは夢だったのかしら。」

(ドンドン)

「きゃ!」突然の音に驚き声を出してしまいました。

「○○ちゃん、おはよう!私よ~。」

「あ、○○さん!」
私は、パジャマのまま玄関のドアを開けました。

「ただいまぁ。ごめんなさいねぇ。朝から。早くお土産渡したくてねぇ。」

その瞬間、私は一気に感情が爆発したかのうように、涙が流れ出てきて、○○さんに抱き着きました。

「○○さ~ん、怖かったよぉ。」

「え?え?ど、どうしたの??!」
しばらくして落ち着いた私は両隣の奥さん達に夜中の事を話しました。

すると、奥さん達は深刻な表情をしながら、言いました。

「○○ちゃん、お寺に行きましょう。」

「え?」

「多分それは危険だわ。」

そう言われ、意味が分からないまま無理やりお寺に連れていかれました。

だけど、お寺にいた和尚さんから話を聞いてすぐに奥さん達の深刻そうな表情の原因が分かりました。

私は見た白いワンピースを着た女は生きた女ではなく、男に裏切られ、幸せから不幸になり自殺した女性らしく、丁度自殺したのがあの墓場だったみたいです。

さらには、女性は死んでからも魂は成仏されず夜中に一人歩く若く幸せそうな女性をみかけては、同じ道を歩むまでつきまとうと・・・。
私は、夜中の事を思いだし、急に震えだしました。

和尚さん曰く、今回はお祓いとこの地域以外の場所への移動で助かるが、もし墓場の前を通った時直接声をかけていたなら、もうどうにもならなかったと・・・。

和尚さんと奥さん達が付き添ってくれ、旦那に話すと旦那はすぐに信じてくれて、違う所へ引っ越す事になりました。
おかげで、以降、白い女性を見る事はありません。

聞いたのですが、白いワンピースを着た女性のせいで、前に市営住宅に住んでいた若い夫婦が突然死したらしく原因がわからなかったの事。

ただ、不思議な事に夫婦の奥さんの方には爪で旦那でも奥さんの爪でもない爪でひっかいた後が残ってたみたいです。

両隣の奥さん達が住んでいた時に入居してきた夫婦だったらしく、そのおかげですぐに感づけたそうです。

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